幻の味 ~仙台彷徨編~

こんにちは。カウンセラーの鶴田です。

ここ数年郊外の客先やネットでばかり仕事をしているのですが、年に一度だけ、
2,3週程度街中に居る機会があるため、その時には、ここぞとばかりにランチざんまい、となります。

特に、ここ数年はお気に入りの店が消えてしまうことが多いため、ほとんど生存確認のために
巡回することになります。

先日は、昼休みをフルに使って地下鉄2駅分くらいを往復する“大遠征”も組み込んで、
いろいろと確認してきました。

『昔ながらの飲食街からオフィスの多い地区に移転してきた洋食屋のオムライス』とか、
『この客先で仕事をはじめた頃に新規開拓した居酒屋の日替わり弁当(魚)』とか、
『昭和感満載のオールドファッションワンタン麺』とか、
『冬も冷やし中華を出している老舗団子屋のカツカレー』とか、
『サラリーマン時代中期にたまに行った居酒屋の日替わり焼き魚定食』とか、
まあ、枚挙に暇がないくらい食いましたともさ。

遠征の最終日には『サラリーマン時代中期にたまに行った台湾料理屋の回鍋肉定食』をいただいたわけですが、
その台湾料理店は、入社した頃にはまだ存在せず、『サラリーマン時代初期によく食った回鍋肉定食』は、
今はもう無い別の中国料理店のものでした。

思い起こせば当時、下っ端プログラマーだった僕は、当たり前のように毎日残業していたのですが、
帰る頃21時とか22時でも、フツーに飲みに行っていました。
いまから思えば、それがバブル景気ってやつだったのかもしれません。

とはいえ、毎日飲みに行くわけでもないので、独り身としては“ばんめしのもんだい”があります。
当時まだコンビニエンスストアは一般的でなく、帰る頃に腹が減ると、居酒屋にでも行って飲むか、
ラーメン屋か、くらいの選択肢しかなかったのです。

そんな悩める若者に、同じ残業仲間(なぜか残業するメンツはいつも似たり寄ったりになる)の先輩が、
禁断の技を教えてくれました。
それは『夕方休憩30分で異様に料理の出てくるのが速い店で速攻食って速攻戻る』というものでした。
って、書くと、なんかそう難しい気はしないのですが、当時会社の近くには、立ち食いソバ屋も
吉野家もなかったので、それは無理なことのように思えたのです。

しかし、その中国料理店の提供速度は驚異的でした。着席しながらオーダーすると、水を飲んで
割り箸を割ったころには、もう目の前に定食が鎮座している、って感じです。
値段の割に盛りが良かったので、まあ、けっこう休み時間ギリギリの時間に戻ることになるのですが、
20代の食欲にはちょうど良かったように思います。
件の先輩ともよく同席して、なんとなく自然に早食い競争になっていましたが、それももう遠い昔の思い出です。

ランチ遠征の帰り道は遠すぎて、道すがら、ここにはあの店があったっけ、なんてことばかり
思い出していました。今回行けたお店たちも、いつか記憶の中にしかない幻の味になるのでしょうが、
懲りずに今年度も参ろうと思います。

んでわ。