メンタルに効く?!アート(その1)
2020/9/4
カウンセラーの内藤です。
残暑が続いていますが、暦の上ではもう9月。秋ですね。
秋と言えば、食欲の秋、体育の秋。
そして芸術や読書の秋でもあります。
そんな秋の入口で、この夏、出会った本をご紹介させてください。
『メンタルに効く西洋美術~逆境にくじけないアーティストたち~』(宮本由紀著 マール社)
ゴーギャンやゴッホ、ミケランジェロやダヴィンチ等など誰もが知るアーティストの作品とともに、ご本人の残した文章や周囲の人との手紙のやりとりなど、生の言葉を引きながら、その生活と人となりに触れる内容はとても興味深いものでした。
本の帯には「あの絵はウケたけど、ほんとは描きたくなかった(イタリア在住・ミケランジェロさん・30代)」とあります。
そんな風に、作者の切り口は今?風で面白く、「え?そうなの?!」「なに、それ?!」と惹き込まれました。
スポンサーやコレクター、作品が世に認められるまでの仲介者となった人達のエピソード、美術館など業界事情、作品を見た事はあるけれど、どういう人かは全く知らなかった近現代の写真家のエピソード等も興味深く読みました。
偉大なアーティストも、それを見出すのも、生身の人間…。
作品が売れず、家族の世話になり心を病みながら生きた人もいれば、若い頃から大層な売れっ子だけど、周囲の目や期待と自分の目指すところの折り合いに悩んだ人、当時の社会の常識に阻まれながら自分の道を開いていったひとなど、色々です。
家族や友達、スポンサーとの人間関係や、仕事や生活を続けるうえでの悩みや希望などは、現代の私たちにも共通する部分があるように思われました。
長丁場の新型コロナとの共存生活の中で、ミュージシャンが無観客ライブを配信したり、様々なアーティストによる動画・コラボ動画がアップされ、家にいながらアートに触れる機会も増えました。美術館もオンラインガイドツアーやギャラリートーク等の動画を配信していますね。
美術も音楽も演劇・演芸等の舞台も、アートは(できるなら)、そこに身を置いて生で存分に味わいたいもの。
とはいえ、バーチャルなモノの中には、単にその日までのつなぎではなく、生で触れる際の楽しみをさらに濃くしてくれるものも少なくないでしょう。また、その場のリアルとは少し違う角度からアートを見せてくれる側面もあるかもしれません。
アーティストや、アーティストと私たちをつなぐ方たちの日進月歩のチャレンジに、そんな期待と応援したい気持ちを感じるこの頃です。