死の体験旅行

死の体験旅行

        鎌倉日蓮堂

※読んでいてつらくなった方は、どうぞ途中で読むのをやめてください。

とても暖かくて気持ちの良い週末、私は「死の体験旅行」に鎌倉まで出かけました。

「死の体験旅行」はもともと、アメリカのホスピスで生まれたプログラム。
ホスピスのスタッフが、末期がんなど死に直面する患者の揺れ惑う心の軌跡を理解し、よりよい看護、介護に活かすために開発されたワークショップだそうです。

ワークショップは、スマホの電源を切り、自分にとって大切ないろいろを20枚のカードに書いたところから始まります。
ファシリテーターは、広島からわざわざこのワークショップのために鎌倉に来た本覚寺の住職。
住職の語るストーリーの主人公は、ある日突然身体の違和感を感じ、それから徐々に病み、衰え、死に向かっていきます。
参加者はその主人公になり、住職の語りと共にその人生を疑似体験していくのです。

死に向かう過程では、大切ないろいろを徐々に失うことになります。
そこで先ほど書いたカードの中から、少しずつ「捨てる」「手放す」ことをしていきます。
自分にとって何が大切なのか、何度も何度も自問しながら苦渋の選択をすることになります。
そして、いのちを終えます。

「体験旅行」とは言いますが、実際にやるのはただ、壁に向かって座り、書き、捨てるだけ。

私自身は割と予想どおりの展開でしたが、他の参加者は相当悩み、自分でも思いがけない選択をしたと泣きながら話してくれた方もいました。

色々なところで、宗派を超えて住職さんがファシリをしているようですので、検索したらすぐに出てくると思いますが、結構人気講座(定員も少ない。私の時は5名。)ですぐに満席になってしまうようです。

皆さんも、良かったら「死の体験旅行」に出かけてみてはいかがでしょうか。