栄養と心理 ~ハーロウのアカゲザル実験~

カウンセラーの内藤です。
コロナ禍で、普段以上に心身の健康の維持・メンテナンスについて考えることが増えたような気がします。
栄養バランスのとれた食事は、睡眠などの休息、適度な運動と共に、健康に暮らす為に大切なことでしょう。
栄養についての情報はネット検索すれば色々出てきますね。
例えば…。
イライラする、やる気がでない→タンパク質、ビタミンB、亜鉛や鉄分などの不足かも?
免疫アップしたい→ビタミンCを摂りましょう
など。
情報の質はさておき、私たち素人でも何等かのヒントを得て、気に留めたり手探りすることができます。

とはいえ、栄養的に満点な食事を摂っていれば健康でいられるか?と言えば、それだけでは足り
ない気がします。

私たちは、環境や、他の個体との関係性の在り方に左右される生き物なので、誰と、どんなところで
どんな心理状態で食事をするかで、味わいも心持ちも違います。
栄養学者にして食生態学者の足立巳幸(*1)さんという方の興味深い研究があります。
1980年代から、「子どもが何を食べているかだけでなく、どこで誰とどんな気持ちで食べているか」について、
子どもたち自身の描いた絵と面接調査に基づいて行われてきた研究です。
書籍やTV番組にもなっていますので、詳細は割愛しますが、心理的な側面から見ても興味深く、
私はハーロウの実験を思い出しました。
母ザルから子ザルを引き離し、哺乳瓶のついた針金製の母ザル模型と、哺乳瓶のないタオルで
巻かれた母ザル模型を置いて、子ザルの行動を観察した実験です(*2)。

 

ハーロウのアカゲザル実験

子ザルが針金ザル(写真では奥に隠れて見えにくいです)のところに行くのはお腹が減った時のみで、専ら抱きついているのはタオルザルの方でした。
アカゲザルも人間も、命をつなぐ栄養のみならず、健康に生き延びる為には触れ合いやつながり、心の糧?となるものが不可欠と思われます(乱暴なまとめ?)。

安全な社会環境下、安心できる友人と寛いだやりとりを交わしながら、美味しい食事を囲み楽しむ幸せ
(私の場合は、ほんのちょびっと?のお酒とともに…!)。

そんな日常を取り戻せる時を待ち遠しく想いながら、いましばらく、我慢の日々です。

 

 

*1 食生態学関連の参考文献:足立巳幸(2020) 『「生活の質」と「環境の質」の持続可能な「共生」をゴールにすることの必要性と具体的な実践事例~食生態学の研究と実践から~』 フード
システム研究27(3):124-136.
*2 G.バターワース/M.ハリス(1997) 『発達心理学の基本を学ぶ』ミネルヴァ書房より転載

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