言いにくいこと

カウンセラーの竹田です。

「言いたいけど言えない」「言いにくい」ことって誰しもあると思います。
「言いたいけど言えない」とモヤモヤしますよね。

人事部で仕事をしていた会社員の頃、毎年新卒採用の媒体を決めたり、
打ち合わせをしたりする仕事がありました。
当時、媒体の種類はそれほど多くはなく、定番と言われていた大手に毎年発注していました。
世は売り手市場で、採用担当の下っ端としては、採用セミナーの会場をなんとか応募者でうめたい、などということがとりあえずの目標でした。

前年と同じ媒体だけでは、今年は厳しいのでは、と予想され、
新しく営業にきている小回りのききそうな媒体にも発注したいと思っていましたが、予算がありません。
思い悩む中、毎年発注している大手の営業担当に「値引き」をお願いしようと思いつきます…。

当時の私には、これが「言いにくい」ことでした。しかし、言いにくいことを避けて、言えることだけ言えば済む「仕事」だったら誰でもできるし、進歩もない…と「言いにくい」ことを言うことに目が向いて、やってみる気になりました。
結果は思い通りになり、「言いにくい」ことを「言ってみて」良かったと心から思えました。
以来、半期ごとに「言いにくいことを言う」ことに関連する目標をたてるようになりました。

勿論、言いにくいことを言うことが必ず良い結果になるわけではありません。
言いにくいことを言えない理由をより深く考えることで、言わなくても解決できる方向を見いだすこともあります。
「言いたいけど、言えない」とただモヤモヤとしているより、前に進むきっかけをつかむこともできます。

最近カウンセリングの場で、職場に協力的では無いメンバーがいることに強いストレスを感じているという相談がありました。外部から専門家として加わっている立場にあるその方は、その職場に入ることになったときに、そこの事情をよく知る先輩から「何かあったら相談して」と言われていたそうです。
なので、その先輩に相談したいと言いつつ、それはなかなか実行されませんでした。
お話を伺うと「相談したいけど言いにくい」と感じていて、そのこともストレスの一因になっている様子でした。
今回、あらためて話してみたことで、言いにくい理由がいくつか明確になり、明確になったことで対処方法を決めることができて、先輩に相談することができました。

「言いにくい」ことにはモヤモヤするものです。「言いにくい」から「言わない」だと行き止まりですが、「言いにくい」をゆっくり考察するとスッキリできる道を発見する可能性がでてきます。