人生相談@ラジオ

カウンセラーの内藤です。

ある日の事。
ラジオをつけたら、『人生相談』の番組が流れてきました。

回答者は専門家から人生経験豊富な芸人さんまで識者、知恵者が揃って、豪華な顔ぶれ。
相談は手紙やメール、生電話もあり。

様々な悩みや相談に、回答者から、新しい見方(認知)が提示されたり、共感や労いが語られたりで、人生相談番組らしく進んでいきました。

そんな中、一本の生電話相談が始まりました。
相談者は湧き上がる言葉に僅かの切れ目もなく話し続けられ、回答者や司会者は言葉を挟めません。ラジオ番組的に大丈夫か?どういう風に運ぶのだろう?とちょっとヒヤヒヤ…。

息もつかず話し続けられる様子から、胸の内に溜めてきた思いを聴いてもらう機会をいま得て、離すものかと掴んでいらっしゃるような、切羽詰まったものを(気のせいか)感じました。
この方が求めているのは回答者の知恵や回答よりも、確かに耳を傾けてもらうことの方かも…と思われました。

熟達の回答者陣は、尺をとるような介入も、持ち味や芸風も封じ、傾聴と受容、短いけれど丁寧な共感にとどめられていました。
最後に必要かつ敷居の低い医療や専門家との接点確保を勧められた上で、司会者の「こうやってお話されたことで少しでもお気持ちが軽くなれば良いのですが」という言葉に、こころなしか柔らかい声で「ありがとうございました」と答えられ、その方の時間は終わりました。

リスナーにとっては、小気味の良い返しもない、戸惑う展開だったにせよ、番組としての面白さより、限られた条件下で相談者を大切にすることが優先され模索されたように思われました。

ラジオ番組というより、カウンセリングのセッションのようだな…と感じたひとときでした(カウンセリングがいつもそうであるとは限りませんが、そういう時間と在り方が必要とされ、そうなることもあります)。